新創業融資制度における自己資金

平成26年2月より新創業融資制度の自己資金の要件が緩和され、それまで3分の1の資金を用意すべきであったのが、10分の1の資金を用意すればいいということになりました。

しかも

「一定の同業種の勤務経験(大学などでの経験を含む)がある者」

などの条件に合致する場合には、その10分の1の自己資金があるものとみなすとなっています。

つまり理屈上は自己資金が全くなくても融資を受けられることになります。

しかし現実問題として自己資金が全くない場合、どんな完璧な創業計画書を用意したとしても日本政策金融公庫の審査は厳しいものとならざるを得ません。

「金は全くないが事業を始めたい」

と言われても信用されないのが当然だと言えます。

事業への真剣度をアピールするためにも自己資金は多いほど有利になります。

やはり、従来の基準と同じく3分の1程度の自己資金があるのが理想です。

なぜ自己資金が重要か

なぜ自己資金が重要かと言うと、以下のような理由からです。

  • 思いつき起業の排除
    思いつきで創業する人は自己資金がない傾向にあります。
  • 資金繰りに余裕を持たせるため
    売上を達成するまでの運転資金は重要です。資金がなくなれば即廃業です。
  • 起業者の資質のものさし
    資金を貯めた経緯から、その起業者の経営者としての計画性、事業意欲ははかれます。
  • 借入負担を軽減する
    大きすぎる借入金は当然返済負担も精神的負担も大きくなります。

認められない自己資金

またどのような資金が自己資金として認められるのかも重要です。

この場合の「自己資金」というのは、基本的に「純粋に開始する事業に使える資金であり」かつ「返済義務がない資金」のことです。

「純粋に開始する事業に使える資金」

と言うのは、たとえば事業が開始するまでに要する生活費などは自己資金から除いて考える必要があると言うことです。

また「返済義務がない資金」と言うのは、たとえば創業者が企業に勤務していて給与から毎月一定額を創業のために貯めてきたというのが通帳から判断できるのなら問題はないのですが、ある日突然大金が振り込まれたような場合、公庫ではその出所を追求します。

たとえそれがタンス預金などの本人にとって問題のない金であったとしても、その出所を明確に説明できない場合、自己資金であるとは認められにくくなります。

それは一時的に友人や親戚、親などから金を借りて、自己資金に見せかける、いわゆる「見せ金」ではないかと疑うからです。

逆に言えば出所のはっきりした金、たとえば「有価証券を売却した」「退職金」「遺産」などは自己資金として問題ないと言えます。

ただし、その売却や相続の証拠書類は残しておく必要があります。

起業のためにすでに完了している支出の扱い

創業の準備にためにすでに完了している支出は、自己資金として認められるのかという問題があります。

これについては、創業計画書の資金計画に書くことができる項目であれば認められることになります。

たとえば、法人設立時の資本金なども自己資金となります。

「たとえそれが現物出資による資本金であっても自己資金として認める」

という日本公庫の担当からの回答を聞いたことがあるので、現金はないが、事業用に使う予定の不動産や、機材、トラック等がある起業者の方は、うまく現物出資制度を用いることで、足りない自己資金を補うことができることになります。

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