サラリーマンの起業

当事務所の場合、起業前の融資の相談の次に多いのが、起業直後の運転資金調達のご相談です。

つまり起業したものの、思うように集客ができず、売上が伸びずに、運転資金が底をついてしまうわけです。

起業前の自己資金で、売上が上向くまでの運転資金を見込んでいればいいのですが、多くがそこまで計算しないまま起業してしまいます。

つまり

「見る前に飛べ」

状態になってしまうわけです。

そしてこれはサラリーマンとして雇用されていた立場の人間に多く見られるようです

開業する場合の成功パターンとしては、自分が自分の事業を始めることを何年もかけて計画し、それに必要な資金や情報、知識や経験を蓄積していくというものがあります。

たとえば自分の店を持ちたいのだったら、同業種の店で雇われ店長をしていたというようなケースです。

しかし、店長などの管理者ではなく管理されていた立場で、毎月固定した給与を当然のようにもらっていたサラリーマンにはなかなかこの必要性がわかりません。

かく言う自分も長年サラリーマンをやっていたので、その心理がよくわかるのですが、要するに「カゴの中の鳥」であるわけです。

カゴの中から大空を見ることはできても、そこを飛び出した場合、どうやってエサを得るのか、想像あるいは空想しかできないわけです。

当たり前のように自分が勤務する会社や店舗が集客できていたとしても、そのために何が必要なのか、管理者やオーナーがどれだけの歴史と知識と経験の上にそれを行っているのか往々にして従業員にはわかっていません。

起業を考えるような従業員は、自分に自信とプライドを持っていることが多いのですが、その多くがその組織の中で培われたものであるわけです。

たとえば

「うまい料理を作ることができる」
「顧客の心をつかむ会話ができる」
「魅力のある商品開発ができる」

などです。

それらはもちろん組織の中にいても独立開業しても大きな価値であることに違いはありません。

しかし、いくら自分に価値があるとしても、まずそれを世に知らしめるための活動がなければ誰もそれを知りません。

つまり「マーケティング」が必要となります。

多くの起業者が

「自分には社会に提供できる価値がある」 = 「自分は社会に受け入れられる(集客できる)」

と考えます。

しかし、まずそれをどうやって社会に知ってもらうか、多くの起業者がわかっていません。

この起業者にとってのマーケティングの必要性についてもそのうちに書きたいと思います。