友人と二人で作った会社

たまたまなのでしょうが、このところ一人ではなく複数で起業した、あるいは起業したいという相談が続きました。

前者は

「友人とふたりで会社を設立して起業したが喧嘩別れしてしまい、連絡も取れなくなった」

というケースなのですが、悪いことに株式の構成をちょうど半分ずつ(50%ずつ)にしてしまったということです。

「よくある話」

という話もある人に聞いたので、なぜだめなのか解説しておきます。

ちなみに、この株式構成は最悪です。

会社法ではよく

「株主の議決権の過半数」

という文言が入った条文が存在し、株主総会では会社のあれこれについてそれで決まる事項が多くあります。

たとえば株主総会で取締役を決める場合、あるいは逆に取締役を解任する場合などもこれにあたります。

そして「過半数」というのは、

「半分を超えた議決権を持つ株主が賛成すること」

という意味です。

よく勘違いされているのですが

「半分以上」

ではないのです。

これは重要な事で、株式を友人とちょうど半分ずつにしてしまった場合、それの意味するところ

「二人で賛成しない限り株主が決めるべきことが何も決まらない(決められない)」

という事態になります。

つまり、その発起人兼出資者兼株主兼取締役の二人が喧嘩して、意思疎通と合意が不可能となった時点で、その会社は死に向かいます。

そもそも二人の経営者が喧嘩したというだけで、業務に支障が出ることは容易に想像できますが、さらに問題なのは

「相手の役員を辞めさせることも、ほかの誰かに役員になってもらうこともできなくなる」

ということです。

つまり会社も経営者も身動きがとれなくなります。

よく世間で言われる起業のセオリーとして

友人と始めるのはよくない

というものがあります。

夢を共有して気の合う友人と起業できるのは幸福なことだと思います。

「おれとおまえは対等で、ともに頑張っていこう」

という思いから、株式も半分ずつにする気持ちもわかるのですが、人間というのはそれぞれに感性も価値観も違います。

その違いが表面化したときにどうなるか、喧嘩して、会社を失い、友人を失うという結末を避けるために何ができるのか、起業前に少し冷静になって考える必要があります。